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2016年07月02日
年齢を重ねていくと、体のいろいろなところが衰えてきます。例え
ば、近くのものが見えにくくなったり(老視)、筋力や体力がなく
なってきたり、膝が痛くなってきたり、病気ではなく若い時にはな
かった不具合が生じてきます。その中に聴力の衰えもあります。
「最近、耳が遠くなってきた」というような症状で、年齢による聴
力低下を加齢性難聴と呼びます。実は、この聴力低下は中年くらい
から始まっているのですが、全体的な音が全て聞こえにくくなるの
ではなく、高音域から徐々に聞こえにくくなるので、あまり自覚が
ありません。実際に、モスキート音という17000ヘルツ前後の
とても高い音(高周波)で蚊の羽音のようなキーンという不快な音
があるのですが、この音は20歳代前半までの若者にはよく聞こえ
ますが、それ以上の年代の方には聞こえにくくなります(個人差は
あります)。とはいえ、日常生活において、このような高い音が聞
こえなくても不便はありませんし、聴力低下は徐々に進むことから、自覚していることが少ないと言えます。
それでも、60歳を超えた頃から、相手の声が小さいと聞こえ難い
とか、こもった声だと聞き取り難いなどと感じるようになってきま
す。しかし、先ほどにも述べましたとおり、日常生活では不便を感
じないことも多いことから、すぐに何か対策を考える方は少ないよ
うです。そして、もう一つ、加齢性難聴の対策の一つにある補聴器
に対する印象が、対策を遅らせる要因だと思います。
ここで、あなたに質問です。補聴器と聞いて、どう感じますか?同
じように能力を補うメガネやコンタクトレンズとは、ちょっと違う
イメージをお持ちなのではないでしょうか?私の想像では、メガネ
やコンタクトレンズは、裸眼で生活するよりは費用もかかりますし、不便かなという程度ですが、補聴器はちょっと年寄りくさい・・・と感じるのではないかと思います。つまり、自分が利用するのに抵抗があるのではないかと思うのです。
しかし、その抵抗感が思った以上に取り返しのつかないことになり
かねないのです。こんなことを言うとびっくりされるかもしれませ
んが、聴力の衰えを感じたら、補聴器を利用することを想定して、
補聴器についての情報を集められることをお勧めします。なぜなら、自分で情報を集めることによって、補聴器に対するイメージが変わりますし、つけた方がいいタイミングも図りやすいと思うからです。実際には、歯の治療などと同じように、加齢性難聴は対応が早いほどいいようです。
それでは、なぜ、聞こえ難いと感じたら補聴器を検討することをお
勧めするかと言うと、まず、補聴器を着用しても、すぐに以前のよ
うに快適に聞こえるようにならないのです。例えば、メガネならつ
けたらすぐに遠くのものが見えるようになります。メガネのレンズ
を作る時に、自分の視力に合うよう調整したら、それ以降はメガネ
かけたら遠くが見えるようになります。しかし、補聴器の場合は、
慣れるるのに時間がかかるのです。それは、補聴器をつける違和感
だけでなく、今まで聞こえなかった音が聞こえるようになって、そ
の音が気になって不快に感じたりします。これは、耳や脳がもとも
と持っていた「必要な音」と「そうでない音」を無意識に聞き分け
る力が低下しているためです。このような音を取捨選択する力が回
復するまでに、少し時間がかかるのです。その慣れるまでの間でも、
補聴器はできるだけつけて慣れる必要があるので、補聴器の様々な
機能を使って補聴器をつけることが不快に感じないように、回復の
様子をみながら何度も調整を重ねていく必要があります。この調整
の期間は個人差があり、1年くらいかかる人もいますし2ヶ月ほど
で以前のように会話も音楽鑑賞が可能になる人もいます。そして、
補聴器の着用が早い方が、この調整の期間も短く、回復もしやすい
のです。
最近では、補聴器も小さくデザイン性も高くなっております。また、難聴の状態で生活することは、生活の質を下げることにもなりますし、孤立感を深め認知症のきっかけになることもあります。ぜひ、補聴器に対する意識を変えて、ご自身もご家族の方も、豊かな生活を続けていけるようにしてください。
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