玉川温泉での経絡マッサージ修行〜その5
2007-06-24
2007-06-24 16:48:07
秋田県・玉川温泉・・・
そこに訪れる多くの人は、大きな病気を経験され、その後、その病が再発をしないように、自身の自然治癒力を高めるために訪れる方が多いです。
病気の種類もさまざまでガン、ぜん息、リュウマチ、脳梗塞、アトピー・・・
医者にかかり、クスリを飲みつつも、症状の改善が思うようにいかない場合、玉川温泉の大地から湧き出る微量の自然放射線を含むラジウム温泉と、天然の巨大な岩盤に身を任せ「心身の再生」をはかるのです。
ですので、観光が目的という方は少なく、病に苦しむ方と、その家族や知人の方が多い所です。
2日目の朝が来ました。
10時スタートでしたので30分前にマッサージ室に到着。
シーツや手ぬぐいの整理などしていると、ものすごく「か細い声」で「あの〜・・・、10時からできますか?・・・」とご婦人の声。
「はい、大丈夫ですよ。10分後にいらしてください。」と私。
「わかりました・・・」と言い残し、近くの休憩室に。
「サーッ」と一瞬何か身の毛がよだつ感覚を覚える私。
10分後いらしたそのご婦人、三井さん(仮名)は、細身で身長170cmくらい。45歳前後とお見受けしましたが、髪は年齢以上と思えるほどの完全な白髪。
こう言っては、失礼かもしれませんが、三井さんに精気は全く感じられず、「幽霊みたいな人」だと、思いました。
肩や腰というようなリクエストは特になく、全身の施術でいいということで、経絡マッサージを始めました。
「玉川温泉へは、時おり来られるのですか?」と尋ねました。
「2回目です・・・」とだけか細いお返事。
何かとてつもない悲しみを背負ってるようでした。
あまり話しかけるのもはばかられ、時間内で精いっぱいの施術をしました。
終わって帰られる際に、とくに言葉はなく「スーーゥ」と消えるように部屋に戻られていきました。
私は、自分自身も気を抜かれたような感覚にとらわれ、次のお客様に、平常心で望めるようにと手を洗い、うがいをし、窓を開けて換気し、東京から持ってきたアロマオイルのラベンダーを
部屋に漂わせました。
それで、何とか自分を取り戻しました。
さて、この三井さんは、翌日も来られました。
そして、帰りにその次の日の予約を入れていかれました。
そしてその次の日は、あと11日間滞在するということで、残り11日間の予約を入れてくださいました。
施術を開始して5日目に、三井さんは自分のことを話してくれました。
愛知県から夫婦で玉川温泉に来られ、その4〜5年前に、後頭部の腫瘍を取り除く手術をした際に、誤って脳の一部にダメージを受け以後、体を動かすことがほとんどできなくってしまったそうです。
手術前のドクターの説明ではそのような危険性は知らされておらず、
医療ミスでないかと病院側と争ったそうです。
しかし、一切非を認めてもらうことはでず泣き寝入り。。。
(医療ミスかの判断は三井さん側の話ですので、客観的事実かは判断できません)
病気になる前は、趣味のテニスを楽しんだりと活発な方だったようですが、病気を境に人生が一転してしまったのです。
何度も死のうと思ったこともあったそうです。
ですが、ご主人に励まされ、地道なリハビリ訓練を続けて来ました。
この1年でやっと一人でゆっくり歩けるまでになったそうです。
そして、神経系の病気にも良いという噂を聞いていた玉川温泉に湯治に来られたのでした。
三井さんが全く精気が無かったのは、そのためだと解りました。
計13日間、三井さんは経絡マッサージを受けられました。
その効果については次回に。
(つづく)